エンドユーザー
ジャーニー レポート
はじめに
CNCFエンドユーザー コミュニティは、エンドユーザーがクラウドネイティブ エコシステムをうまく活用し、人材を確保し、クラウドネイティブ ツールやテクノロジーを正しく採用できるよう支援します。これにより、組織はクラウドネイティブの最適な用途を特定し、クラウドネイティブ テクノロジーの俊敏性、柔軟性、コスト効率性を活かした実装の策定と導入を行うことができます。 140を超えるメンバーを擁するこのエンドユーザー コミュニティは、オープンソース ファウンデーションや標準化団体における最大のコミュニティです。 「ユーザージャーニー」レポートでは、活発に活動するエンドユーザー コミュニティのメンバーに焦点を当て、これらの組織がテクノロジー リーダーとして成長し、CNCFエンドユーザー コミュニティに参加することでどのような利益を得ているかを示しています。
このエンドユーザー ジャーニーのレポートでは、クリエイティブなワークフロー、分析、デザイン、コマースなどをサポートする20以上の製品とプラットフォームを提供する、Adobe Experience Cloudで有名なAdobeを取り上げます。Adobeは2015年にクラウドネイティブ テクノロジーを採用し、同時にチームメンバーがCNCFにそれぞれ貢献し始めました。2021年、Adobeは正式にCNCFに参加しました。
スナップショット
クラウドネイティブに対するAdobeのコントリビューション
これまでに5,000件以上の貢献実績を持つアドビのチームは、オープンソースの将来性とCNCFの役割に大きな期待を寄せています。 同社は、社内開発者向けプラットフォームにおける技術的躍進とソート リーダーシップで広く知られており、CNCF Argoプロジェクトと緊密に連携し、独自のバージョンを社内で推進しています。
アドビはオープンソースのメンターシップという考え方を重視しており、チーム メンバーが定期的に講演やアドバイスを行い、他の組織が社内開発者プラットフォームや Kubernetes の実装などを拡張する上でのトラブルシューティングを支援しています。 現在、Adobeは46のCNCFプロジェクトにコントリビュートしており、そのことが開発者エクスペリエンスの向上という組織のミッションにどれほどの価値をもたらしているかを十分に認識しています。 AdobeはCNCFエンドユーザー テクニカル アドバイザリー ボードのメンバーであり、CNCFカンファレンスでは定期的に講演を行っています。
数字で見る
月間累積PR数
月間累積コミット数
Adobeが貢献したプロジェクト トップ10(2015年からの累計)
Adobeの
CNCFへの旅
Adobeは2年前に「公式に」CNCFに参加しましたが、同社は2015年にはクラウドネイティブの考えを取り入れており、チーム メンバーは当時、etcdをはじめとするさまざまなCNCFプロジェクトへの貢献を開始していました。
「私たちは、多くのプロジェクトを利用しているため、この組織に貢献したいと考え、参加しました」と、プラットフォーム エンジニアリングのprincipal product managerであるJoseph Sandoval氏は説明しています。AdobeのCNCFイベントへの初参加は、シアトルで開催されたKubecon 2018でした。また、このイベントでチームメンバーが初めてプレゼンテーションを行いました。
Adobeは、Argo、Cillium、Envoy、Fluentd、Helm、K8s、OTel、Prometheusなど、合計46のCNCFプロジェクトに貢献しています。業界横断的なコラボレーションから、より多くの熱心な開発者や、社内開発者プラットフォーム分野におけるソート リーダーとしての急速に高まる役割など、Adobeにとってのメリットは明らかです。「私たちは、CNCFのポートフォリオからかなり多くのものを採用し、それを構築して製品化しました」と、AdobeのDirector of Engineering、Developer ExperienceのSrinivas Peri氏は述べています。「そして、それをAdobeの他の部署に提供し、デベロッパー エクスペリエンスの改善に役立てています。」
タイムライン
Adobeでは、CNCFに対する熱意は本物です。彼らが実感している具体的なメリットの一部を紹介します。
コミュニティの現状をチェック
どの組織も孤立した環境で成功しているわけではありません。Adobeはフィードバックを伝え、かつ受け取る双方の必要性を十分に認識しています。
オープンソースなので、これが他のエンドユーザーに恩返しできる方法です。また、コミュニティで多くの人々と交流できるという純粋な利益も得られます。コミュニティでの対話は、当社の製品を改善するのに非常に役立ちます。そして、その成果を会社に還元することができるのです。
Joseph Sandoval
Principal Product Manager,
Platform Engineering
しかし、この互いに影響し合う関係は、双方向に作用します。「会社は、コントリビューター、メンテナー、その他のエンド ユーザーと積極的に関わり、対話を行うことで、具体的な成果を上げています」とSandoval氏は説明します。
リード クラウドエンジニアのMike Tougeron氏は、CNCF、特にカンファレンスは、会話、ベスト プラクティス、推奨事項の宝庫であり、非常に率直なフィードバックが得られる場であると説明しました。実際、この深く考え抜かれた微妙なニュアンスを持つインプットこそが、彼がCNCFカンファレンスに参加する理由なのです。
そこにあるさまざまなプロジェクトと、あなたが歓迎される方法…人々はあなたのコントリビューションや質問、会話を受け入れます。非常に活発で、非常に親密で、非常にポジティブで、非常に建設的です。そして、双方向のやりとりが行われています。
Mike Tougeron
Lead Cloud Engineer
クラウドネイティブが推進する取り組みへのアクセス
しかし、360度フィードバックの力はAdobeでは単なるお話にとどまりません。Cloud Native Operational Excellence Initiativeのメンバーとして、Adobeは堅牢で運用に優れた社内開発者向けプラットフォーム(IDP)の推奨事項を採用し、実行に移しました。「私たちは実際にそれをたくさん使い、頻繁に利用することでコントリビューションを行いました。そのため、不足している機能やバグを発見し、それを報告することができました」と、AdobeのDirector of Engineering、Developer ExperienceのSrinivas Peri氏は語ります。
この取り組みへの参加は、プラットフォームやテクノロジーの枠を超えたいくつかの恩恵をもたらしました。
この分野(IDP)には多くの関心が寄せられており、同じような考え方を持つ多くの企業が当社にコンタクトを取ってきています。企業は、当社が何をしているのか、あるいは何をしていないのか、また、どのようなテクノロジーが当社に最適かについて、正確に知りたいと考えています。
Vikram Sethi
Principal Scientist,
Developer Platforms
その結果、Adobeにとっては、かなりの「ストリート クレジット(信頼や評判)」につながったと、とSandoval氏は付け加えました。「これらのツールをどのように使用しているかについて、多くの問い合わせが寄せられています。」と彼は言います。「パートナーである大手クラウド プロバイダーの多くが、プロジェクトに関するフィードバックを求めて、あるいは、当社のプロジェクトで実施したことを自社のプロジェクトにも取り入れるべきかどうかについて、当社に問い合わせてきます。私たちは皆、これらのプロジェクトを採用しながら、お互いをレベルアップさせようと努力しています。そして、私たちの知名度は確実に上がっていると思います。
クラウドネイティブのスケールリーダーシップが認められました
AdobeのCNCFへの参加は、もう一つの評価ももたらしました。同社は現在、これらの取り組みを大規模に推進する最大手のクラウドネイティブ企業の1つです。「この分野に参入している企業はほとんどありません」とSethi氏は述べています。
当社が扱う規模、つまりクラスタの数、トラフィック、CI/CDソリューション、そしてユースケースの観点から、多くの企業が当社に注目しています。業界全体を見ても、当社はIDPについて人々がどのように考えるべきかという点において、現状を打破し、ある種の道筋を示そうとしています。クラウド リーダーシップの観点から見ると、当社の状況はかなりユニークです。
Vikram Sethi
Principal Scientist,
Developer Platforms
クラウドネイティブの未来を形作る手助けができる能力
Adobeのユニークな状況は、チームにとってCNCFの取り組みや方向性に参加する理想的な機会を与えてくれます。Sandoval氏は、最近CNCFに寄贈され、AWSが推進しているKubernetesノードのライフサイクルマネージャーであるKarpenterプロジェクトは、その好例であると述べています。AdobeはKarpenterをCNCFに正式に組み込むためにスポンサーになることを強く希望し、Microsoftをプロジェクトに引き入れました。「私たちはそのプロジェクトで非常に影響力のある役割を果たしました」とSandoval氏は述べ、AdobeがIntuitのArgoプロジェクトの策定に重要な役割を果たしたことを付け加えました。
採用(および人材確保)が厳しい市場で注目を集める
Adobeチームが将来のCNCFプロジェクトにコントリビューションを行ったり、Autodesk Dataのようなカンファレンスで講演を行ったり、2022年のArgoConで独自のIDPミニ サミットを開催したりするなど、彼らは現在および将来の技術系人材に対して明確なシグナルを送っています。すなわち、オープンソースを非常に重視し、動きが速く、柔軟で、創造的なクラウドネイティブ企業であるというシグナルです。採用に関して言えば、Peri氏は、Adobeがオープンソース分野でリーダーシップを発揮していることが、同社を素晴らしい職場にしていると考えています。また、Adobeの企業文化が、複雑な変化にもオープンであることもプラスに働いています。
「社内にはCI/CDツールが数多くあり、すべてがうまく機能していました」とPei氏は語ります。「しかし、私たちは挑戦し、すべてを一変させました。そして今、私たちが何をしたのかを披露し、他の人たちにその方法を示しています。私たちはここで素晴らしいストーリーを語ることができると思います。」そして、その活動の持続性に関して言うと、チームのCNCFプロジェクト(およびSandoval氏の最近の講演)に対する熱意が、大きな興奮を生み出しています。
少なくともここ2年間、当社のブランドと当社の取り組みは、多くのエンジニアに多くの活力を与えていると思います。
Srinivas Peri
Director of Engineering, Developer Experience
Adobe
翻訳協力:松本 央 (Hiroshi Matsumoto)